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Channel: ガニメデス(Ganymedes)
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危ない少年 19 枕木讃歌

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危ない少年 19 枕木讃歌

だいたいにおいてこういう場所で写真を撮ること自体が間違っている。
とは言え、田舎だったらいいか・・・。

街の中だったらダメですよね。ひっきりなしに列車が通る。

イメージ 1


子供の頃、家からちょうど1キロくらい離れたところに山陽本線の鉄道が通っていた。もしかしたらもっと近くだったかも知れない。
なにせ子供の時の話だから、正確な距離感がつかめない。

眠れない夜。布団に入って上を向いたり、下を向いたり・・・。
両親も寝たようで、家の中が静まりかえった頃。時間にしたら午後11時か、0時頃だろうか。自分ひとりが取り残されたようで、怖いやら、気持ち悪いやら。

遠くの方から「コト、コト」という小さな音が聞こえてくる。

イメージ 2


何の音かというと、鉄道の音。列車が通る鉄道の音。枕木の音だった。

長~く、続いていた。いつまでたっても鳴り止まないでいた。
その時間に通る列車と言えば、夜行列車か貨物列車。
長い音は貨物列車の音だった。


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1キロも離れていたのに「コト、コト」と聞こえていた。
こんな時間でも運転手さんは起きて仕事をしている。車掌さんもそうだろう。
そんな事を考えていると、ひとりぼっちじゃないと勇気が湧いてきた。

イメージ 4



大人になってからの事。
鉄道を使ってのひとり旅。
今度は自分が夜行列車に乗っていた。
二段ベッドで寝ていると、「コト、コト」と枕木の音が心地よく聞こえてくる。
これは意識しないと聞こえてこない。旅の醍醐味だ。
時折、踏切を通り、赤い点滅ライトとともに警報機の大きな音がカンカンと耳を付く。

イメージ 5



最近、枕木がないね。みんなコンクリートになってしまった。
おまけにレールがものすごく長いものだから、音の間隔も長くなってしまった。


イメージ 6



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遠くへ行きたい ジェリー藤尾





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