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Channel: ガニメデス(Ganymedes)
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ひとの倖せ

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ひとの倖せ

おいしい物を食べているとき、ふと、考えてしまう。
おいしければ、テレビのグルメ番組のように大声で「うまい!!」と感想を叫べばよいのだが、なかなかそうもいかない。
口に含んで、どこはかとないうま味が舌の横腹をくすぐる。
ゆっくりと噛み始めると、今度は本格的にその食物の持つ本来の味がじんわりと口の中に広がっていく。
何とも言えないしあわせ感。

このしあわせ感、自分だけで感じるのは何となく罪悪感を感じてしまう。
誰かに伝えたい・・・というより、共有したい。だからその人にも食べさせてあげたい、と思う。

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これ、死んだ父親も食べた事があるのだろうか。
そんな疑問が湧いてくる。もしかしたら味わうこともなく亡くなったのかも知れない。

戦後の、ろくな食べ物もない頃に、必死で働き、残業をし、子育てをしてきた。そして日本を経済大国にし、そして日本は食べ物の消費大国となった。


おいしい物を食べた時、ふと考えてしまう。
遠くを見つめてしまう。
贅沢な料理を噛みしめながら。
「うまい」のに素直に「うまい」と言えない、この感覚。
もしかしたらこれも幸せの一種かも。


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「松葉ガニ」「越前ガニ」・・・いろんな呼び方があるが
冬に日本海側の旅館に行くとひとり一匹ずつ、料理につけてくれる。

でも私の子供の頃は蟹なんか食べた事がなかった。せいぜい、蟹缶を家族全員で分け合って食べた事を覚えている。それも正月にだ。
けっして貧乏ではない。食べる事に困った事はない。いつもごはんはお腹いっぱい食べていた。要するに蟹自体の値段が高かったのだ。

それが今では、ネットで産地から直接買う事ができる。冷凍技術も向上している。安価で手軽に食べる事ができる。

今年の冬は二回食べた。二匹(二杯)以上、食べた。
蟹缶も食べた。
おいしいと思っていた蟹が、それほどではなくなった。

そして、食べ飽きた。

この間、食べたカニ風味の蒲鉾のほうがおいしく感じた。

いや、いやなかなか贅沢な舌になってしまったものだ。


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おいしい物を食べているときは幸せだろうが、それはけっして価格には比例
しないようだ。
それと同じように、お金がたくさんあってもしあわせ感を感じない事もあるようだし、物や時間が有り余っていてもしあわせ感を感じない事もあるようだ。

また人によって、人の生育歴などによってもしあわせ感は相違する。


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要は個人差があるという事かな。
自分の幸せはけっして他人の幸せではないし、他人の幸せはけっして自分の幸せではない。


先日、埼玉で、ベビーシッターの男に殺された(と思う)二歳の男の子・・・。
たった二年の人生だったけれど、しあわせ感を感じた事があったのだろうか。


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ここに幸あり・・・Yoshiko Otsu [1956]








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