美楽影堂 秋の森の妖精たち
ザワザワと枯葉どもが騒いだので、そちらを向いた。
視界の隅に誰かいたような気がした。
でも誰もいなかった。
でも草が揺れていた。
ここには誰もいませんよと、首を振るように。
もっこりと枯葉の山の下には、何かいる?
誰かいる。
だってそこだけ、何かを守るように集まっている。
ベンチの背もたれの縞模様に誰か隠れている?
陽の光がそよぐたび縞模様も頷いている。
青空がやっと見えた。
赤い森は薄暗くて、気が重い。
高い木に登って陽の光をいっぱい受けたい。
白雪姫の小人達はきのこの陰で踊っていた。
あのきのこの陰には誰がいるんだろうか。
覗いてみたら、誰もいなかった。
でも指のあとがあるね。
森に吹く風は妖精のため息。
誰がそんな事、言ったのだろうか。
そんなに退屈だったら、きのこの傘の上で踊って見せて。
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森の小人 近藤圭子
ザワザワと枯葉どもが騒いだので、そちらを向いた。
視界の隅に誰かいたような気がした。
でも誰もいなかった。
でも草が揺れていた。
ここには誰もいませんよと、首を振るように。
もっこりと枯葉の山の下には、何かいる?
誰かいる。
だってそこだけ、何かを守るように集まっている。
ベンチの背もたれの縞模様に誰か隠れている?
陽の光がそよぐたび縞模様も頷いている。
青空がやっと見えた。
赤い森は薄暗くて、気が重い。
高い木に登って陽の光をいっぱい受けたい。
白雪姫の小人達はきのこの陰で踊っていた。
あのきのこの陰には誰がいるんだろうか。
覗いてみたら、誰もいなかった。
でも指のあとがあるね。
森に吹く風は妖精のため息。
誰がそんな事、言ったのだろうか。
そんなに退屈だったら、きのこの傘の上で踊って見せて。
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森の小人 近藤圭子